こうちボランティア・NPO通信 「てをつなごう」
2011年10月 Vol.92
中村くらしを見直す会
四万十市中村地区で食育・環境問題に取り組んでいる「中村くらしを見直す会」。27年前に、お母さんたち数人の、「最近の食べ物は、何かおかしい」という気付きをきっかけに、発足した消費者グループです。代表の川村祐子さんは、「周囲の理解を得ることが難しいなかで、ひとつの物事から派生する問題に次々取り組んできた」とこれまでの活動を振り返ります。その言葉のとおり、「中村くらしを見直す会」の活動は、有機野菜・オーガニック食品を取り扱う店舗を通じて、レジ袋有料化運動、「養生塾」の開催など多岐にわたっています。
レジ袋有料化が実現!
川村さんに、「これまで長く活動を続けてこられた中で、一番うれしかったことは何ですか?」とお伺いすると、「やっぱり私たちの目指したものが形になったとき!」と答えてくださいました。たとえばレジ袋の有料化。実は四万十市は、高知県下で初めてレジ袋の有料化に踏み切った街だそうです。行政・企業・そして市民団体の三者がつながり、市全体でゴミの減量化に取り組んでいます。「こういった生活に直結する問題には、女性のほうがより積極的。よい担当者にも恵まれた」と語る川村さん。アイディアや意見交換の場として、担当課の方との女子会も開催しているそうです。
養生塾 in 四万十!
四万十市には、全国的にも珍しい東洋医学の部門が、公立の市民病院の中にありました。漢方がまだ一般的でなかった時代、その良さを広めたいと、地元の保健師や市役所と連携し、市民を巻き込んだ勉強会を開催しました。それが今、形を変えて続く「養生塾」です。
今年の養生塾のテーマは「四万十の自然の中で、水・空気・風を体感する」。私たちの生活になくてはならない空気、今までそうとは気付かず当たり前にあったものが、3月の震災、そして原発事故以降、その安心を脅かされています。普段はなかなか気付かない、空気や水、風といった自然の大切さを改めて考える機会として開催する予定だそうです。
そして、次の活動
会では、 農業者団体「環境にやさしい農業のための研究会」の事務局として、四万十市の学校給食や、県内のホテルの食事に有機野菜を提供しています。高知の野菜を地産地消、そして外商。他にも、福島県内のお母さんたちのネットワークに、高知の有機米や有機野菜を無償で届ける活動もおこなっています。「日々の食事を通して、子どもたちや地域の人々のくらし方、生き方を変えていきたいと考えているけど、今の人員体制じゃまだ無理かな」と川村さんはおっしゃっていました。
目指すのは、人々が自然から生まれてきたことに気づき、そして自然への感謝を忘れずにくらしを営む社会。行政と対等な立場で活動を行うため、補助金にはなるべく頼らないで活動を続けています。周囲がやっていないことに最初に取り組み、一つずつクリアしてきたみなさん。そこには、「時代の変化にあわせて、できることをコツコツと続ける。無理に大きく取り組んでも、変わらないものは変わらないから」 という「中村くらしを見直す会」流のスタイルがありました。
取材: 高知県立大学社会福祉学部2回生 西森亜梨紗・西山絵里香・吉田智絵