あきらめたらいかん
ぶどう作りのおんちゃん
「竹島のぶどう作りのおんちゃん」といえば、知る人ぞ知る有名人の池本博さん。建設業を経営していたが、十数年前より時代の流れを察知し、業体変革を図り、昔から「美味しい!」と評判だった竹島梨とぶどう栽培を始める。売り場もいるということで、5年前より産直の「彩り市場」を開業。現在では、梨畑が約1町、ぶどうは約2反、柑橘類を1町5反栽培している。「自分が食べて自信がないと、市場にださない」が信条で、今年も評判が良く完売状態です。
農業は「自然相手で気がぬけんが、愛情込めてやればやるほどいい作物ができる」と博さん。現在は、お孫さんの高知県青年農業士の潤くん(28歳)と伶央くん(23歳)の二人に跡を継いでもらっている。
「負けたらいかん!あきらめたらいかん!」
と、母に言われ続けて過ごした幼年期。戦前、戦中、戦後と激動の時代「貧しさと苦労の連続だった」と博さん。
8歳のとき父が他界。6人兄弟の長男として、母と一緒に家族を支えた。母の言葉の「あきらめるな!」は、今でも生きるうえでの基本としている。
当時の尋常小学校を卒業と同時に、石つき職人に弟子入りなど、力仕事は何でもやった。子ども心に「中流の生活」が夢だったが「ただ単に、金儲けだけじゃなく、何かを求める心があった」と博さんは振り返る。それが何なのか、答は出ていないが、今年79歳になった今でも、その「何か」を追い求めているような気がする。
農政局より「功労賞」受賞
池本さんは平成17年3月、中国四国農政局より国営土地改良事業地区において、生産技術あるいは農業経営等の面から創意・工夫を凝らして営農活動を展開し、事業の推進に貢献ということで「営農推進功労賞」を受章。池本さんは「この事業は幡多の農業発展にとって最後のチャンス」として頑張った。
竹島梨と柑橘類のブランド化に向け、計画段階から地元調整等大変だったが「あきらめるな!」を信条に大区画ほ場が完成した。現在は「四万十果友会」として組織化し、共同販売など中心となって活動している。
目標を持つことの大事さ
座右の銘は「道を歩かない人。歩いた跡が道になる人」「半ばは自己の幸せを。半ばは他人の幸せを」の二つ。「人間何かを信じて一生懸命やれば必ず成る」と博さん。「自分は自分の夢を追い求めて生きてきた。
自分達の作った果物が、“美味しい!”と言って食べて頂く事が最高に嬉しい。79歳になってもまだまだ極めてはいないけど、これからも常に上の目標に向かって生きて行きたい」と、夢をもつことの大切さを、目を輝かせながら力強く話してくれた博さんでした。
池本博さん
昭和6年9月4日生れ。(79歳)
四万十市竹島1-1
四万十市竹島35-4 TEL 0880-31-5500